第3回 ハトシ

2009年12月16日

長崎には「ハトシ」なる名物料理がある。

エビをつぶしたのをパンで挟んで
油で揚げただけのカンタン料理なのだけど、
県外はおろか、長崎市外のヒトであっても、
コレが長崎名物であるコトを知ってるヒトは、
意外に少ない。
hatosi

主に、新地中華街などの中華料理店で
出される料理だが、
子どもの時分、
親が寄合などで中華料理店を利用した際、
お土産は決まってコレか、
角煮と饅頭の皮のセットであった。

「ハトシ」は冷めてもオイシいから、
コレがお土産の時は、
姉と大喜びしたコトを憶えている。

ところで、
筆者が子どもの頃によく食べた
カレーパンは、今のそれとは違っていて、
中身が自家製カレーというだけで、
あとはハトシそっくりなスタイルだった。

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お店で注文するとその場で揚げてくれ、
油紙に包んで売ってくれた。
確か、一個20円ぐらいだったと記憶しているが、
定かではない‥。。

かじると、ハトシを少し固めにしたような食感で、
カレーの風味と油がジワ〜っと
口いっぱいに広がった。

こうしたスタイルの中洋折衷メニューは、
長崎には古くからあったらしいが、
「ハトシ」の語源に関しては、
今もって、まったく分からない。

もし、ご存知の方がおられたら、
是非お教え願いたい・・・。

つづく

第2回 てんぷら

2009年10月31日

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衣に味をつけよく練り混ぜ
粘りを出してから揚げる為に、
どうしても衣が厚くなるが、
冷めてもおいしく食べられる・・・

そんな『長崎てんぷら』は、
普通のソレとは見た目も味も
チョッと異なっていて、
モチっとした食感と、
甘めの味付けが特徴。

長崎で「てんぷら」といえば、
コレのコトとばかり思っていたが、
最近は一般的な「味の付いてない衣」の
てんぷらに押され、
特に若者層にはあまり人気がないらしい。

更に‥、
長崎で「てんぷら」というと、
まったく別の食べ物がある。

筆者が小学生の頃、
友人宅で夕方近くまで遊んで
帰宅しようとすると、
友人のおふくろ様が、
生粋の長崎びとらしく、
「メシば食うて行け!」
と怒鳴るように言うので、
一応、通り一遍の遠慮をしていたが、
「てんぷらば買うて来とるけん!」
のひと言に、
それまでの遠慮をかなぐり捨て、
大喜びで食卓についた。

そしたら、
お膳に乗っていたのは、
「すり身揚げ」だった。

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長崎に限らず、
「すり身揚げ」のコトを、
関西からコッチの人たちは、
「てんぷら」と呼ぶ。

古い長崎びとであれば、
「からあげ」と呼ぶコトもある。
しかし、
久しぶりにご馳走にありつける!
と思って喜んだ「てんぷら」が、
「鰯のかんぼこ」だった時のショック‥。

それから暫くの間は、
「てんぷら」と聞いても、
どのタイプの「てんぷら」を
指して言っているのか、
一々確認していた。

つづく

第1回 プレミア皿うどん

2009年10月1日

長崎では、
住宅の玄関先で、
こうした光景を
ちょくちょく見かけるコトがある。

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大きな中華皿の真ん中に、
栄養ドリンクの空き瓶がチョコンと
乗っかっているのだけども、
知らない人が見たら、

「ナンのお呪(まじな)いか」
と思われるンではなかろうか。

       

長崎びとは、ナニかにつけ、
「皿うどん」の出前をとる。

冠婚葬祭はもちろん、
お盆に親戚が集まる時や、
急な訪問客があった時なども、
大皿に盛られたコレを出前してもらい、
それぞれが小皿に取分け、
食すのである。

これがまた、
長崎らしい一般家庭の情景なのだ。

普通は中華飯店か食堂で食べるので、
コレにかけるソースも、
専用の容器に入って置かれてあるが、
出前の場合は、注文した人数分の量、
栄養ドリンクの空き瓶に入れられて来る。

しかも、ナゼか決まって、
昔からリポDの空き瓶なのである。
ナゼそうなのか、
ほとんどの長崎びとは知らない。

知らないけども、
ソレが当然のコトのように
思い込んでいるのである。

      

県外から遊びに来た知人に、
皿うどんの出前をとってあげたら、
「栄養ドリンクがオマケに付いてきた」
といって喜んだらしい。

・・飲まなくてよかった。

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つづく