春の花見と秋のもみじ狩りは昔からつづく長崎の恒例の行事だが、車社会となってからは紅葉見物は遠くまで出かけるようになってしまった。
子供の頃までは弁当をこしらえ家族総出で遠足気分で出かけていたのだが。
春のカルルス、秋のみょうそうじ、といわれるように長崎人にとってはお馴染みの景勝地である妙相寺界隈は、日見バイパスの開通や本河内高部水源地の改修工事等でずいぶんと様変わりしてしまった。
しかし中に踏み入れると昔ながらの風情が残っており懐かしさと色づいた鮮やかなもみじの変らぬ姿に安堵する。
寺町にある皓台寺の五世住持「逆流」が末寺とし、彼の書による「瑠璃光山」のアーチ式の石門が出迎えてくれる。秋葉大権現へとつづく野石が積まれた石段の道の脇には不動明王や小さな滝があり深い趣がある。この道は正月行事の七高山巡りで歩く古い山道である。
もうひとつ長崎では馴染ぶかい鳴滝川の源流にある「七面山」のもみじも美しい。
ここは街から紅葉しているのがはっきりと見える。山奥とはいえ港に向けて開けているので明るく、秋の日に照らされて錦に織りなす様相は実にすばらしい。
紅葉のもみじ越しに見る、鶴の港(長崎港)と遠く女神大橋の眺望よし。